姑との関係って大変ですよね。
実の親子でもいい関係を保つのは大変なのに、これまで全く縁のなかった他人と突然家族になるわけですから、気を遣うったらありゃしない!
私の場合、姑はフランス人ですが、当時は4年ほど近くに住んでいたので週末には夫の実家へ行き、食事をするような関係でした。
なにしろラテン系なので「家族の絆が強い!熱い!」
といえば聞こえはいいですが、私の姑様の場合は過干渉なうえに、なにしろ気が強いのです。
今回は私がそんなフランス人姑に対して取ったちょっとした処世術(?)について書かせて頂きます。
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気が強くてうざい姑と上手くやる方法
結論から言いますと、私の場合は、早々に降参しました。
だって気の強さでは勝てませんから!
フランス女性は一般的に気が強いと言われますが、実際には優しくてソフトな方も多くて一概には言えない所もあります。
でも、この義母の気の強さは別格でした・・。
お金持ちの家のお嬢様で、お嬢様学校出身、結婚してからは自分の力で自営業を成功させたという自負があるお方。
実際、義父も頭が上がらない。
「こんな鋼の女を敵に回したら、まずこちらの身が持たない」と判断した私は速やかに白旗を上げました。
- 何を言われても言い返さない
- 何を言われても「ウィ~」と返事
- 何を言われてもへなちょこ笑顔
と一見、従順な嫁に見せかけてました。
でも実際のところは、
- 何を言われても大して聞いてない
- 何を言われてもほとんど気にしない
- 何を言われても自分を変えない
と、実はこんな感じでしたね。
だって、何か言い返そうものなら、その10倍がスゴイ勢いで返ってきますから!
そんなのに付き合ってたらキリがないし、フランス人のロジカル(で不毛な)論争に巻き込まれたら口下手な日本人に勝ち目はないのです。
なので、「ウィ~」「ウィ~」とバカみたいに答えながらも、実際はたいして聞いてない。
自分のペースはそのまま続行。
やりたくない事はやらないし、やりたいことはやっちゃいますよ。
というスタンスを静かに続けていくと、相手も次第に諦めます。
はぁ・・、この子には何を言っても無駄ね。
と思わせたら大勝利。
フランス人は「個人個人が好き勝手に生きてていい」とする国民性なので、
まぁこの子はこういう子なのね。仕方ない。
と受け入れた時の度量は結構デカいのです。
ため息は目の前で思いっきりつかれますが、こちらもそんなのは気にしません。
互いにありのままを受け入れてしまえばその後は結構ラクチンでした。
ウザい姑に言われた衝撃的な言葉
ちなみに、実際にどんなことを言われるのかというと・・
- もっといい仕事に就きなさい(仕事を変えろ)
- もっといい物を食べさせなさい(貧乏ったらしい)
- もっと小さく切ってから子供に与えなさい(バナナなど)
- 夫のシャツくらいあなたがアイロンがけしなさい(旦那が自分でやる)
- 洗濯ものの折り方がダメ
- 子育ても大事だけど、旦那の世話もちゃんとしなさい(夜のことまで口出しする!)
はい。身も蓋もないことをズバズバ言われます。
距離感なんてあったもんじゃない・・!笑
その他、
「それを私に言うか?!なぜ自分の息子に直接言わない!?」
と不思議に思うことまでバシバシ言ってきますね。
恐らく、私の方が言いやすいのでしょう。
でも、こんなことよりも私が衝撃を受けたのは、なんとお婆ちゃんの一言でした。
義父の方の祖母で、一生カフェ(フランスではお酒を出すバーのこと)で朝から晩まで働き続けた女性です。
私が食事中に愚痴ってしまった時のこと・・、
「〇〇(旦那の名前)は家事を全然しないのね。食べた食器を下げることもしないわ。」
何気なくつぶやいた言葉でしたが、それに対しての返事が驚愕でした。
まず、義母・・
「そりゃしないわよ。発想がまず無いもの。
して欲しかったら、丁寧な言葉で頼むのね。」
これにもカチンと来ましたが、まぁ慣れっこ。
私が驚いたのは、いつも優しい祖母がこう言ったことです。
「女は男の2倍働くのよ。
外では男より働いて、家では全部自分でするの。」
優しい口調ながら、大きなショックを受けました。
うーん・・・。
これは厳しい・・!!
腹のくくり方が全然違う!!
よく、欧米人の男性は家事をよく手伝うって言いますよね。
あれはこのファミリーには当てはまらないようだと諦めたのを覚えてます。
こんな家庭で育っていたら、自分も家事を手伝おうという発想自体がないのは確か。
それでもまぁ、最近は少しやるようになりましたが、ここまで教育するのには大変な労力と時間を要しました。

ちなみに嫁姑問題はフランスでも定番
こんな事までズバズバ言うお国柄ですから、当然嫁姑問題は深刻です。
旦那から聞いた話ですが、トゲだらけの魚があると「姑に出す魚」と冗談で言うそう。
とはいえ、日本のように我慢しながら無理に関係を続けるのかといえば、そこは少し雰囲気が違うみたいです。
フランスの場合は気が合わない者同士は家族であってもイベントに顔を出さないなんてケースも結構聞きますし。(結婚式に来なかったとか。)
例えば、この義母と義理の妹に当たる叔母とは犬猿の中。
一度本格的な怒鳴り合いの喧嘩を目の前で見たことがありますが、まぁ、腰が抜けるほど驚きました。
(本人達はその後もシャーシャーとすまし顔でしたが・・。あれが信じられん)
なので、叔母家族が企画するイベント(旅行や誕生日会)に義母だけ行かないなんて結構普通。
しかも誰もそれを問題視せず、個人が行きたかったら行く。行きたくなかったらそれでいい・・という個人尊重主義が気持ちいい。
ちなみに、この義理の叔母は私もかなり苦手だったので、この部分だけは義母と完全に意見が一致してましたね。笑
結果的には、気が強くてウザい姑とも仲良くなった
そんな感じで背伸びせず、ありのままの自分を出してしまうと「ダメ嫁」認定も早いのですが、「ダメ嫁」なりに可愛がってもらえるようになりました。
いつだったか、
「あなたは私が何を言っても「ウィ~」しか言わないのね~!」と嫌味っぽく言われたので、
「下手に言い返したら、痛い目に遭うのはこっちですから。身を守る為には仕方ない。」みたいなことをサラッと言うと
ホーホッホ!!!
と勝利の高笑いが出てました。
唯一有難かったことは、彼女にユーモアのセンスがあったことですね。
元もないことを言われても、ユーモアで適当に返すと「ハァ・・」と大きなため息つきながら諦めてくれます。
いつもカリカリしてる性格を義父や旦那にからかわれたり、突っ込まれたりしても、怒るどころか自分も笑っちゃたりしてるので、その辺も可愛いと言えば可愛いのです。
この部分がなかったらさすがに私も苦しかったと思います。
自分もこんな「最強姑」になりたい?!
最後にですが、私がさすが!!と彼女の生き様を賞賛した出来事について紹介させて頂きます。
週末の家族での食事会での出来事です。
普段はケーキなどを焼かない義母が珍しく杏子のタルトを焼いたことがありました。
ところが、ちょうど杏子の時期だったこともあり、招かれてやってきた義母の姑も全く同じ杏子タルトを持ってきたのです。
見た目も大きさも全く同じ杏子タルトが二つ・・。
私はどちらを食卓に出すのかが楽しみでならなかったのですが・・。
義母がすまし顔で出したのは自分が作った杏子タルトでした!!!
さすが!!
お客さんでもある自分の姑(皆が大好きな婆ちゃん)のタルトは完全無視で冷蔵庫へ・・。
自分のだけをテーブルに出して切り分けた義母には「あっぱれ!!」の感情が湧きました。
そして、私も最終的にはあんな最強の女になりたい・・。
となんとなく憧れに近いものを感じたのでした。(本気かいな?!!)